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ニューヨークでは……

初のニューヨーク。ニューヨークでは5泊しましたから、まずは観光を楽しみました。

初日には、宿泊先のAffinia Manhattanというペン駅すぐのホテル(7th avenue沿いで、31 streetと32 streetの間にある。この仕組みと方向感覚は最後のほうでようやくつかめてきたかなという感じでした。まぁ、とにかく…)のフロントの若い男性に聞いて、メトロポリタン美術館まで歩いていくことにしました。まずは7番街から5番街まで行き、それから5番街をずっと北上するというコースです。ちょうどエンパイヤステートビルの横を通ります。前日に、JFK空港からマンハッタンに入ってからというもの、ずっと驚いてきたことですが、とにかく、ビルが高い! 最近の新宿は行っていないけど、ロンドンはビルが低いので、その分空が広いのですが、ここニューヨークでは、地上からビルを見上げると首が痛くなるほど。それも、そういうビル群の中にいるので、どこもかしこも、首の痛くなるビルだらけ。これはおもしろい経験でした。(空はあまり見えない。けれども青空だと、その青色がビルのガラスに反射して、まぁ、きれいなこと、きれいなこと…)

こうやって5番街を32番通りあたりから北上したのですが、その、ホテルの若い男性は徒歩40分くらいって言ったのだけど、実際にはもっとかかりました。これは若さの違いだったのかもしれません。

よく晴れた暑い一日でした。予定通り、メトロポリタン美術館に行き、そしてグッゲンハイム美術館に行き、そこから南下、フリック・コレクションを見てから、ゆっくりホテルに戻りました。帰りには7日間有効乗り放題のメトロカードというものを購入。初のニューヨーク地下鉄を楽しみました。

2日目には、自由の女神を見るべく、リバティー島に上陸。そのあと2001年の同時多発テロの現場、グラウンド・ゼロに立ち寄り、午後は買いもの。そして夜はエンパイヤステートビルからの夜景を楽しみました。

from the Empire State Building ... ver.1

3日目が、今回の旅行の一番の目的であった、ロンドン・チェルシー薬草園植物画会(花譜会よりもいいかなと思いますが、いかがでしょうか?)の展覧会が行なわれているブルックリン植物園にて、ブルックリン植物園植物画会のメンバーと一緒にランチ、そのあと保管されている植物画を見せていただき、そして、夕方のレセプションというスケジュールでした。

ニューヨーク側のメンバー(=アーティスト)と知り合えたこと、ロンドン側のメンバーと海を渡った場所で会えたこと、そして展覧会…と、いいことはたくさんありましたが、わたしにとっての一番の収穫は、実はコブシ。

このブルックリン植物園には、案内書のすぐ外に、マグノリア・プラザという、マグノリア(各種モクレン)を20種類以上集めた一角があります。時は9月の中旬ですから、そろそろマグノリアの実が赤くなってきていました。その中に、大きなコブシの木(Magnolia kobus)があって、しかも、ピンクの実をいっぱいつけていたのです!!!!!

Magnolia kobus fruits

白い紙の上に、白いコブシの花だけを描いた絵があって、横目で見るたびに、うーん、実がほしいなぁ…と思っていたわたしは、思わず、実が落ちていないかと探し回りました。これでなんとか白いコブシの花に、紅い実を付け加えられそうです。

4日目には、グラウンド・ゼロに戻り、そこからウォール街へ。午後は、近代美術館を半日かけてじっくり見てまわり、夜はアメリカ植物画協会(ASBA)の展覧会のレセプション。

5日目は、夕方のフライトでロンドンに戻るために、午前中に、国連本部を訪れました。ほんとは東に向かうバスに乗るべきところを反対行きのバスに乗ってしまって、終点で待つ羽目にはなりましたが、同じバスで無事、国連本部にたどりつくことができました。初めてのニューヨーク。ちょっとだけ土地勘もできたし、次回は一人で行ってみたいものだと思っています。

ニューヨークに行きます!

Florum 2009・『フローラム2009』が始まるのと同じ9月12日(土)には、もう一つ別の展覧会が、ニューヨークで始まります。
“Inner Beauty? Paintings of Medicinal Plants by Chelsea Physic Garden Florilegium Society”
9月12日より11月8日まで
@ Steinhardt Conservatory Gallery, Brooklyn Botanic Garden, New York, USA

こちらは、わたしが所属するチェルシー薬草園・花譜会(Chelsea Physic Garden Florilegium Society)のグループ展です。ニューヨークにあるブルックリン植物園にて、9月12日より11月8日まで開催されます。わたしの絵は、昨年11月15日より今年の3月15日までキュー植物園にて展示されたのと同じエンジェルズ・トランペット(Brugmansia x candida ‘Blush’)です。 ニューヨークにお住まいの方、ニューヨークに行かれる予定のある方、是非ご覧ください。

この機会を利用して、昨年1月のチャールズ皇太子の花譜展のレセプションの際は行きそびれたニューヨークに、初めて足を踏み入れることにしました。ちょうどこの展覧会とFlorum2009の初日にあたる9月12日にこちらを発ち、9月17日(木)の夜の便でロンドンに戻ってきます。ブルックリン植物園のレセプションは9月15日(火)、その翌日はASBA(アメリカ植物画協会)の展覧会のレセプションに参加、それに少しニューヨーク観光もしてくる予定です。楽しみです。

初めてのアメリカ・最終日

9月30日(日)。
アメリカ滞在最終日である。
フライトは午後5時だったので、午前中は遊べると思っていたが、博物館も美術館も開館時間が午後1時だったので、回れなかった。代わりに、ホテルのある(そしていくつかの大学がある)ピッツバーグの文教地区オークランドや、その隣の地区を歩き、5番街を通ってホテルに戻ってきた。

その道々で見たもの。

resize1549.jpg ハロウィーン用グッズであふれるお店。

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オークランドの中心近くにあったビル。5番街の向かいにある教会が見事に映っていた。

ホテルまで戻ってきてから、今度は、目の前にあるCathedral of Learning(学びの大聖堂)という建物の中に入った。これはピッツバーグ大学のメインの校舎だそうで、「42階建て、高さ約160メートルのゴシック建築のビルで、教育機関の建物としては世界第2位、全米1位の高さを誇る」とウィキペディアに記述がある。

おもしろいのは、そのビルの1階と3階にあるNationality Rooms。日本の部屋。オーストリアの部屋。イスラエルの部屋。インドの部屋・・・と、いろいろな国の特徴をとらえた部屋があり、実際にそれを教室として利用しているのだそう。ただ、その中で教える学科は語学に限るわけではないらしい。日本の部屋には解体新書とか、お茶の道具とかが置かれていた。

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resize1553.jpg これはオーストリアの部屋だったか。

42階建てで、36階は、かなり狭まってきて部屋はいくつもないのだが、東西にある窓からピッツバーグ市を見下ろすことができる。 折角だから…と一人でエレベーターに乗って行ってみた。

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東の窓からは、泊まっていたホテルが真下に見え、はるかかなた(といっても3マイル。5キロの距離だが)に前日に行ったピッツバーグのダウンタウンの高層ビル群が見える。

36階には誰もいなかった。折角だからと一人でエレベーターに乗ってきたものの、今はロンドンにいて、高いビルといっても、せいぜい5階か6階までしか行ったことがないので、36階まで行くというのは、実はかなり怖かった。エレベーターに乗ること自体、内心は避けたくなっていたので、ここでちょっと下へ降りる階段をさがしてみた。あるにはあるんだろうけれど、鍵がかかっているようだったし、一人でわけのわからない階段を探して降りるのも、これまた怖いと、最後には覚悟を決め、再びエレベーターのボタンを押した。

*****

フライトは5時だったけれど、余裕を見て、ホテルを1時半に出、ピッツバーグ空港着。まずはチェックイン。そして荷物を預ける。普通、日本ー英国間を移動するときには、預ける荷物には鍵をかけ、ベルトで巻く。今回は、どこかのサイトで、鍵をかけておくと、その鍵を壊してまでも中身を点検することがあるというのを読んでいたので、係りの人に聞いてみると、やはり鍵はだめとのこと。ここで鍵を外し、ベルトだけにした。(最終的に、ベルトはなくなっていた)

そのあとセキュリティーチェック。持っていた機内持ち込み手荷物はリュックだけで、それを、脱いだ靴とともに、X線装置のコンベアに乗せ、自分自身も金属探知機を通過する。これはいつも嫌なものだ。思いがけないことでアラームが鳴ったりする。幸い今回も鳴らなかった。鳴らなかったのに「こっちへ来て」と呼ばれ、ボディーチェックをされる。「あなたの荷物は?」と聞かれ、「あれ」と指差すと、リュックも開けて手で点検。どうして?

係りの人に「何だか逮捕されたみたいで嫌だなぁ」と言うと、「いやいや、そんなんじゃない、ほら、ここに印があるでしょ、この印がある人はチェックしなければならないんだ」と、わたしのチケットを指し示す。そこにはSSSSと、確かに書いてあった。

なあるほど。だから来るときも、どこだったかでボディーチェックされたのかな。

ロンドンに戻ってきてから、友人に聞いた話では、問題は姓名にあるようだった。そういえば、職場で自動的に与えられたeメールアドレスは、苗字+名前の順で、hashim@XXXX.XXなのだが、わたしは実はそれがとても気に食わない。イスラム系の名前にとてもよく似ているからだ。 そして今回のSSSS騒動も、どうもこの辺に原因がありそうだった。

友人は苗字も名前も違うものの、ローマ字で書くと、hashimまでは一緒だ。そして、彼女はよくアメリカに行くが、行くたびに、チケットにはSSSSのマークがつき、必ずボディーチェックされると言っていた。

ということは、わたしも、今後アメリカに行くたびに、SSSSはついて回り、そのたびにボディーチェックをされるということなのだろう。なんだか考えただけでうんざりしてしまう。

初めてのアメリカ・4日目

9月29日(土)
今日は快晴。丸一日、観光に費やすことにした。だから朝ものんびり。毎朝、コーヒーとオレンジジュースをたっぷり。そして、お皿いっぱいのフルーツにヨーグルトを少しかけたものと、小さいゆで卵を一つ、トーストを1枚食べていたのだが、今日は目の前で焼いてくれるおばさんにオムレツを作ってもらうことにした。中に何入れる?と聞かれ、目の前に用意してあるいくつものボールの中から、タマネギと、ピーマンと、マッシュルームと…といくつも選んで入れてもらった。 とてもおいしかった。

ホテルがあるところはカーネギー・メロン大学やピッツバーグ大学、その他の大学、そして大学付属の博物館や美術館のある、ピッツバーグ市内の中でもオークランド地区と呼ばれる一画だ。そこからピッツバーグのほんとうの中心地、ダウンタウンまでは3マイル。約5キロ離れている。最初の日の真夜中にタクシーの窓から高層ビルの立ち並ぶきれいな夜景を目にしてはいたが、今日はそこに行くことにした。

実際に歩いてみると、道路の造りの整然さを実感することができる。道路は縦横にはりめぐらされていて、縦の道路がアヴェニュー、横の道路はストリート、それもアヴェニューは、ファースト・アヴェニュー、セカンド・アヴェニュー…ときちんと並んでいるので、街の構造をつかみやすい。はぁ、このフィフス・アヴェニューをまっすぐ歩いていったら、いずれはホテルの近くに戻れるのね?って感じでおもしろい。

アメリカの食事はまずいと聞いていたのだけれど、これまでは意外とおいしかった。だが、この日ダウンタウンで『カニ』に惹かれて入ったレストランで、初めて、ああ、これはファースト・フードだと気がついた。わたしが選んだものは…まずかった。まずかったから、残したのだけど、そうすると、ウェイトレスが「お持ち帰りになりますか?」と聞いてきた。アメリカでおもしろいなと思ったのは、この「お持ち帰り」のシステム。イギリスでは、食事が食べ切れず、持って帰りたい時には、こちらから「ドギーバッグに入れてくれ」と頼まなければならない。ドギーバッグというのは、doggy bag、すなわち、ワンちゃん用のバッグである。頼むときも、ちょっと気が引けたりする。

ところがアメリカでは…というか、わたしのほんの数日のピッツバーグの経験では、ほとんどの場合、向こう側から、持って帰りますか?と聞いてくれる。ホテルでさえも、朝食用のコーヒーポットを持ってきてくれたときに、発砲スチロール製のフタつきカップを用意してくれ、残ったのは入れていきなさいって言ってくれた。(しなかったけど) 日本でだったらどうだろう? 残ったものは残りっぱなし。持って帰るとは言わないだろうなと思う。

ただ、このシステムもよさそうでありながら、常に何かを食べ、何かを飲むという状態へ拍車をかけることになるのかもしれない。アメリカで肥満が問題になっているが、これもその一因なのかもしれない。

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初めてのアメリカ・3日目

9月28日(金)
本日は12時から、アメリカ植物画家協会の午餐会があったので、ホテルで朝食をとってからは、同じホテル内で開催されていた植物画家協会のイベントで、ほかの人の作品を見て回った。

午餐会で、隣に座った人は、植物画協会会員でアメリカ在住の人。なんと、ランの審査員だと言う。今年の6月にはエジンバラの展覧会に出品したそうだ。エジンバラの展覧会は去年から一般公募展になったばかりで、実はわたしはその第一回目に出品した。だから、そのときお世話になり、その後もおつきあいしている共通の知人の話になった。世界は狭い。
反対側に座った人は、やはりアメリカ植物画協会会員であり、今回のハント・インスティチュートの展覧会に出品しているアーティスト。まずはオーストラリアで、そしてアメリカで植物画の学校を開いた人で、来年にはイタリアでも開くのだという。カリキュラムなどかなりしっかりしているようだったので、とても興味深かった。

午餐会のあとは、再び、展覧会会場に戻り、これが最後かもしれないなと思いながら、自分の絵を見、そしてほかの人の絵もじっくり見てきた。そのあとはインスティチュート所蔵の18世紀の絵を見せてもらったりした。